不安なとき、体に何が起きている?

心理相談室ちゃのまの杉田真也です。

前回、「不安は心に備わった警報機のようなもの」というお話をさせていただきました。今回はその警報機が鳴っているとき、私たちの「体」の中で何が起きているのかをお伝えしていきます。

大勢の前の発表や緊張する場面で、急に心臓がドキドキしたり、息が荒くなったり、手に汗をかいたりした経験はありませんか?

「自分はおかしくなってしまったのではないか」と焦ってしまう方もいるかもしれませんが、どうぞ安心してください。それは体が故障したのではなく、あなたを守ろうとして正常に機能している証拠なのです。

目次

1. 脳の優秀な見張り番「扁桃体」

私たちの脳の中には、「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれるアーモンド型の小さな部位があります。これが心の中の「優秀な見張り番」です。

扁桃体は、目や耳から入ってくる情報をもとに「危険がないか」を常に監視しています。

例えば大昔、人類の先祖が野生の猛獣(マンモスなど)に遭遇したとします。このとき見張り番である扁桃体がすばやく反応し、全身に次のような緊急指令を出します。

「非常事態発生! 命を守るために『戦う』か『逃げる』かの準備をせよ!」

この指令を受けて全身に信号を送るのが、自律神経の仕組みです。

2. 体のアクセル「交感神経」が入る仕組み

自律神経には、体を活動・興奮させるアクセル役の「交感神経」と、体を休ませるブレーキ役の「副交感神経」があります。

見張り番の扁桃体が「危険だ!」と判断すると、体内ではアクセル(交感神経)が瞬時に全開になります。これが、危険から身を守るために備わった緊急モード「闘争・逃走反応(Fight or Flight)」です。

このとき体に現れる症状には、すべて明確な理由があります。

  • 心臓がドキドキする: 全身の筋肉に血液を送り込み、すぐに走り出せる状態にしている。
  • 呼吸が速く浅くなる: たくさんの酸素を体に取り込み、素早く動けるようにしている。
  • 手に汗をかく: 必死に動いて体温が上がりすぎないよう、冷却用の汗を出している。また、滑り止めとしての役割もある。
  • 胃やプレッシャーでお腹が痛む: いまは消化吸収をストップし、「戦う・逃げる」ことにエネルギーを集中させている。

一見つらい身体症状も、一つひとつに「命を守るための意味」が隠されています。

3. 現代のストレスを「マンモス」と勘違いしてしまう脳

現代社会において、野生の猛獣に襲われることはまずありません。

しかし、真面目な見張り番(扁桃体)は、現代特有のさまざまなストレスを「マンモス級の危機」だと勘違いしてしまうことがあります。

  • 大勢の前でのプレゼンやスピーチ
  • 上司や周囲からの厳しい視線や言葉
  • 将来への漠然としたお金や生活の心配

こうした精神的なプレッシャーに対しても、脳は愚直にアクセルを全開にしてしまうため、激しい動悸や汗といった身体反応が引き起こされます。

4. まとめ:身体の仕組みを知ることが、冷静さを取り戻す第一歩

もし今後、不安で心臓がドキドキしてきたら、「あ、脳の見張り番が私を守ろうとして、一生懸命アクセルを踏んでくれているんだな」と思い出してみてください。

「この動悸や汗は危険な病気ではなく、正常な防衛反応なんだ」と客観的に理解するだけでも、不安の波に飲み込まれずに少し冷静さを取り戻すきっかけになります。

とは言っても、急な身体の反応や強い不安に一人で立ち向かうのはとても大変なことです。

身体症状を伴う不安でお悩みの方や、上手な付き合い方をプロと一緒に練習したいとお考えの方は、いつでも心理相談室ちゃのまでお待ちしております。遠慮なくご相談くださいね。

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