心理相談室ちゃのまの杉田真也です。
今回からは、「不安」をテーマに少しずつ記事を書いていこうと思います。
日々カウンセリングでお話をお聞きしていると、やはり不安に関するお悩みはとても多いと感じます。
診断名がつくような「不安症」に限らずとも、学校や仕事での不安、子育ての不安、あるいは生きることそのものへの漠然とした不安など、私たちの身の回りには不安の種がたくさんありますよね。
「この不安さえなくなれば、どんなにラクだろう」と思われる方も少なくないのではないでしょうか。
1. もしも世界から「不安」が完全に消えたら?
もし仮に、この世界から「不安」という感情が完全に消え去ったとしたら、どうなるでしょうか。一見、ストレスのない夢のような世界に思えるかもしれません。
しかし、少し具体的に想像してみると、意外な側面が見えてきます。
- 準備をしなくなる: 試験や仕事の前になっても、「まあ何とかなるだろう」と準備や勉強をしなくなってしまう。
- 危険を避けなくなる: 見通しの悪い交差点でも、「誰も来ないはず」と確認せずにスピードを出してしまう。
- 健康を損なう: 身体の不調を感じても「大丈夫だろう」と放置したり、暴飲暴食を抑えられなくなったりする。
- 対人関係が雑になる: 相手を傷つけるかもしれないという配慮が抜け、言動が一方的になってしまう。
このように考えると、「不安がまったくない世界」というのは、実は危険や失敗に気づけず、自分や周囲を守れなくなってしまう世界でもあるのです。
2. 不安は心を危機から守る「警報機」
心理学の視点から見ると、不安は決して「悪者」ではありません。不安は、私たちが危険を回避し、安全に生きていくために心に備わっている「警報機(センサー)」のようなものです。
「このままだと危ないかもしれない」「少し準備をしたほうがいいよ」と、トラブルを未然に防ぐためにサインを出してくれています。
では、なぜ不安で苦しくなってしまうのでしょうか。
それは、不安そのものが悪いのではなく、「心の警報機の感度が上がりすぎている状態」になっているからです。
例えるなら、トーストが少し焦げただけの煙なのに、大火事かのように火災報知器がけたたましく鳴り響いてしまっているような状態です。これでは心が休まる暇がありませんよね。
3. 目指すのは「不安ゼロ」ではなく「上手に付き合うこと」
不安に悩んでいるときに必要なのは、警報機を無理やり壊して音を消す(不安をゼロにする)ことではありません。
過敏になってしまったセンサーの感度を調整し、「本当に危険なときだけ、適切に知らせてくれる状態」へとメンテナンスしていくことです。
不安を敵として排除するのではなく、その役割を理解した上で上手に付き合っていく。そのための具体的な考え方や対処法について、これから数回に分けてお伝えしていきますね。
どうぞよろしくお願いいたします。