心理相談室ちゃのまの杉田真也です。
パニック障害のお悩みでカウンセリングに来られる方の多くは、すでに心療内科や精神科を受診されています。
「お薬で突然の発作自体は抑えられているけれど、乗り物に乗るのがまだ怖い」 「何年も通院してお薬を飲み続けているけれど、これ以上良くなっている実感がない」
このように、お薬による治療(薬物療法)を続けているものの、途中で変化を感じにくくなり、行き詰まりを感じている方は少なくありません。
今回は、薬物療法に行き詰まりを感じている方に向けて、認知行動療法(CBT)を併用するメリットについてお話しします。
【※DSM-5などの最新の医学的診断基準では「パニック症」と表記されますが、ここでは広く知られている「パニック障害」という表記を使用しています。】
1. なぜ「薬だけ」だと停滞しやすいのか
お薬は、突然襲ってくる激しい動悸やパニック発作を抑え、つらい症状を静める上でとても強力な助けになります。
ですが、パニック障害には発作そのものだけでなく、「また起きたらどうしよう」という強い不安(予期不安)や、「怖いからあの場所を避けよう」という避ける行動(回避行動)という側面があります。
お薬で体の症状を和らげることはできても、「電車や人混み=危険な場所」という頭の中の苦手意識や、「怖くて避けたくなる行動パターン」までを自動的に書き換えることは難しい場合があります。そのため、「発作は出ないけれど、不安で外出できない」という状態が続いてしまいがちです。
2. 認知行動療法(CBT)を併用するメリット
認知行動療法では、お薬でパニック発作をコントロールしながら、以下のようなステップで「一人でも大丈夫」という感覚を少しずつ取り戻していきます。
- 不安が起きる仕組みを正しく知る
「なぜ急にドキドキするのか」を正しく理解し、過剰な怖さを和らげます。 - 避けていた場所に少しずつ慣れていく
「大丈夫だった」という感覚を確かめながら、無理のない小さなステップで行動範囲を広げていきます。 - 自分の力で対処できる感覚を身につける
不安が強まったときのやり過ごし方や考え方の整え方を練習します。
国内外の研究でも、「お薬での治療」と「認知行動療法」を組み合わせることが、パニック障害の改善や再発防止において高い効果を示すことが知られています。お薬でつらい症状を抑えつつ、認知行動療法で「動ける範囲」を戻していくというアプローチです。
3. CBTを始める際は「主治医への相談」が必要です
「自分も認知行動療法を試してみたい」と思われた方に、大切なお願いがあります。
カウンセリングや認知行動療法を始める際は、必ず現在かかられている主治医の先生に相談し、許可を得ていただくようお願いいたします。
パニック障害の治療において、お薬の調整と心理療法は密接に関わっています。心身の状態によっては、いきなり不安に向き合うアプローチをするよりも、まずはお薬でしっかり休養をとる時期が必要な場合もあるためです。
主治医の先生と連携しながら進めることが、安全で効果的に改善へ向かうための大切なポイントとなります。
まとめ
パニック障害は、「一生お薬を飲み続けなければいけない病気」とは限りません。
「そろそろ次のステップに進みたい」「薬以外の対処法も身につけたい」と感じている方は、まずは通院先の医師に「認知行動療法を併用してみたい」と相談してみてはいかがでしょうか。
主治医の許可のもと、心理相談室ちゃのまでも臨床心理士・公認心理師と一緒にご自身に合ったペースで取り組んでいけます。どうぞ気軽にお問い合わせください。