こんにちは。
臨床心理士・公認心理師の杉田真也です。
不安の記事の11回目です。
今回からは、私たちの日常生活でよくある場面に焦点を当て、より具体的で実践的なお話をしていきたいと思います。
さて、皆さんは、こんな経験はありませんか?
日曜日の夕方、テレビから聞き慣れた音楽が流れてくると、胸がザワザワし始める。
月曜日の朝、ベッドから起き上がるのがひどく億劫で、お腹が痛くなるような気さえする。
いわゆる「ブルーマンデー症候群」や「サザエさん症候群」とも呼ばれる、仕事始めの日の憂鬱。多くの社会人が経験するこの現象もまた、不安の一種と言えるでしょう。
私も覚えがありますが、明日が来るのが嫌で、つい現実逃避してしまいますよね。
「まだ日曜日でいたい…」と、意味もなく夜更かしをしてみたり、スマホを見続けてしまったり。その気持ち、本当によく分かります。
今回は、そんな「月曜の朝が怖い」という気持ちを、少しでも軽くするための週末の過ごし方について、一緒に考えていきたいと思います。
なぜ、月曜の朝は特別つらいのか?
月曜の朝の憂鬱は、決してあなたの「やる気がない」せいではありません。
その大きな原因は、休日と平日の心と体のギャップにあります。
土日にすっかりリラックスした「お休みモード」から、月曜の朝に突然「仕事モード」へと、急激な切り替えを強いられる。このギアチェンジの負荷が、心身にとって大きなストレスとなっているのです。
例えるなら、お風呂に入っていたところから、いきなり冷たいプールに飛び込むようなものです。心臓がびっくりしてしまいますよね。
この急激な変化を和らげ、なだらかに平日に移行していくこと。それが、ブルーマンデーを軽くするための鍵になります。
週末にできる、3つの小さな工夫
「明日が来るのが嫌だ…」という気持ちは脇に置いて、ほんの少しだけ、未来の自分のために小さな準備をしてみませんか。全部やろうとしなくて大丈夫です。できそうなものが一つでもあれば、試してみてください。
1.日曜の午後に「助走時間」をつくる
日曜日の夜まで完全に遊びきってしまうと、月曜の朝のギャップが最大になってしまいます。
そこでおすすめなのが、日曜日の午後、たとえば夕食前の15分〜30分程度を「軽い助走の時間」と決めてみることです。
- 月曜のスケジュールを、ただ眺めてみる
- 仕事用のカバンの中身を揃える
- 明日着ていく服を、なんとなく決めておく
「やらなきゃ!」と意気込む必要はありません。「ちょっとだけ見ておくか」くらいの軽い気持ちで頭を仕事モードに慣らしておくことで、月曜の朝の心理的なハードルをぐっと下げることができます。
2.月曜日の予定を、あえて「ゆるく」する
私たちはつい、「週の初めだから頑張ろう!」と、月曜に大変な仕事や重要な会議を詰め込みがちです。しかし、これがプレッシャーとなり、日曜の夜から不安をかき立てる原因になります。
可能であれば、月曜日の午前中は、メールの返信や簡単な事務作業など、比較的負荷の軽いタスクから始めるように調整してみましょう。
「月曜は、これくらいでOK」という低いハードルを設定してあげることが、心のお守りになります。
3.月曜の朝に「小さな楽しみ」を用意する
憂鬱な月曜の朝に、ささやかな「ご褒美」を用意してあげるのも、とても効果的です。
- いつもより少し高級なコーヒーや紅茶を淹れる
- お気に入りのパン屋さんで買ったパンを食べる
- 好きな音楽を聴きながら準備をする
「これがあるから、月曜日もまあ悪くないか」と思えるような、小さな楽しみを見つけてみてください。
「月曜の朝が怖い」と感じるのは、あなたが真面目に日々を過ごしている証拠でもあります。
夜更かししたくなる気持ちも、現実逃避したくなる気持ちも、決してダメなことではありません。
そんな自分を責めずに、まずは「これならできそう」と思える一つの工夫から、試してみてはいかがでしょうか。