不安になりやすいのは、あなたのせいではない
こんな風に感じている方はいませんか?
「他の人は平気そうなのに、どうして私だけいつも心配しているんだろう…」「こんな些細なことで不安になってしまって、私はなんて弱い人間なんだろう…」
周りの人と比べて、自分の不安の感じやすさに悩み、自分を責めてしまうことはないでしょうか。
でも、実は不安の感じやすさはあなたのせいではなく、生まれ持った個性がそうさせているのです。
そして、そこに良いも悪いもありません。
今回は、”気質”という面から、不安について考えていきましょう。
”気質”は心の初期設定
私たちは一人ひとり、顔や身長、運動神経などが違いますね。
それと同じように、物事の感じ方にも生まれつきの傾向があります。
これを心理学では”気質”と呼んでいます。
気質とは心の初期設定のようなものです。
性格よりも一歩手前、生まれ持った感情の反応パターンと言えます。
これは”良い・悪い”、”強い・弱い”ということではなく、ただの個性でしかありません。
不安を感じやすい人は、共通した気質が見られることがあります。
① 高感度なアンテナ
他の人より感受性が豊かで、周りの雰囲気や他人の気持ち、環境の小さな変化など、様々な刺激を敏感にキャッチするアンテナを持っています。このアンテナが高性能なため、他の人が気づかないようなことまで察知してしまいます。
② 高性能な自動ブレーキ
新しいことや慣れない状況に直面したとき、すぐに飛び込むのではなく、「本当に大丈夫かな?」「危険はないかな?」と、まず一旦立ち止まって考える傾向があります。これは、いわば高性能な自動ブレーキが備わっているようなものです。安全を確認してから行動するため、大きな失敗を避けられる一方、行動する前に不安を感じる時間が長くなります。
短所は長所でもある
高感度のアンテナを持っていることは、人の気持ちを察し、思いやりのある行動にもつながります。また、危険に早く気づき、未然に防ぐことができます。
高性能の自動ブレーキを持っていることは、衝動的な行動で大きな失敗を防ぎ、着実に物事を進めることができます。また、深く考える力があり、思慮深い判断ができます。
もしかしたら”心配性”や”臆病”と思っていたものは、”優しさ”、”危機管理能力”、”堅実”、”思慮深さ”といった素晴らしい才能であるかもしれません。
”気質”と”環境”
もちろん、気質だけで不安の感じやすさが変わるわけではありません。
それまで育ってきた環境や経験がかけあわさって、今の性格が作り上げられてきたのです。
例えば、慎重な気質の子が、失敗を温かく見守ってもらえる環境で育てば、「じっくり考えて行動できる子」になるかもしれません。
例えば、失敗を厳しく責められる環境にいると、「失敗が怖くて何もできない子」になってしまうかもしれません。
ここで目指したいのは、他人や環境のすることではありません。
大切なのは、「生まれ持った特性と、これまでの経験が組み合わさって、今の自分の性格ができあがっているんだな」と客観的に理解できることだと思います。
不安になりやすい自分を無理やり変える必要はありません。
「弱いのではなく、アンテナの感度が高いんだ」「臆病なのではなく、慎重なだけなんだ」と、自分自身を捉えなおすことから始めてみてはいかがでしょう。
お一人では難しいと感じられたら、心理相談室ちゃのまをお尋ねください。
それでは、今回もありがとうございました。
また来週の水曜日にお会いしましょう。