心理相談室ちゃのまの杉田真也です。不安についてのコラム、第6回です。
「他の人は平気そうなのに、どうして自分だけこんなに心配してしまうのだろう」 「こんな些細なことで不安になるなんて、自分はなんて気が小さくて弱いんだろう」
周りの人と比べて「不安を感じやすい自分」に悩み、自分を責めてしまうことはありませんか?
ですが、不安の感じやすさはあなたの性格の欠陥や努力不足ではなく、生まれ持った体質や性質(気質)が大きく関係しています。そこには優劣や「良い」「悪い」もありません。
今回は、「気質」という視点から、不安との付き合い方についてお話しします。
1. 「気質」は生まれ持った心のクセ
私たちは一人ひとり、背の高さや肌の質、運動の得意・不得意が違いますよね。それと同じように、音や光、周囲の空気感といった「刺激に対する感じやすさ」にも生まれつきの個人差があります。これを心理学では「気質」と呼びます。
気質は、後から身につく性格の土台となる「生まれ持った刺激への反応パターン」です。
不安を感じやすい方には、次のような気質の特徴が多く見られます。
- 周囲の小さな変化や人の表情によく気づく(感受性が高い)他の人が気にならないような音や人の表情、部屋の空気感などを自然とキャッチするため、脳が受け取る情報量が多くなり、疲れやすく不安も生まれやすくなります。
- 行動する前にしっかりと状況を確かめる(慎重さが強い)新しい場面に直面したとき、すぐに飛びつくのではなく「危険はないか」「大丈夫か」と一度立ち止まって考える傾向があります。
2. 見方を変えれば「生きる上で大切な強み」になる
一見すると「心配性」「臆病」と思えるこれらの気質も、視点を変えると大切な長所になります。
- 人の気持ちや変化によく気づく = 相手の気持ちに寄り添える「思いやり」や、危険をいち早く察知する「危機管理能力」
- 慎重に状況を確かめる = 軽はずみな失敗を防ぐ「堅実さ」や、物事を深く考える「思慮深さ」
ご自身が「短所だ」と思い込んでいた部分は、実は丁寧さや優しさ、事故を防ぐ力という素晴らしい資質でもあるのです。
3. 「気質」と「育ってきた環境」が重なって今の自分がつくられる
もちろん、人の性格は生まれ持った気質だけで決まるわけではありません。そこに育ってきた環境やこれまでの経験が重なることで、今の思考や行動のパターンが形作られていきます。
例えば、慎重で丁寧な気質を持つお子さんであっても、周囲がそのペースを温かく見守る環境であれば、「じっくり考えて行動できる力」として伸びていきます。一方で、失敗を厳しく咎められる環境にいると、「失敗するのが怖くて動けない」というお悩みに繋がることもあります。
ここで大切なのは、ご自身や過去の環境を責めることではありません。
「生まれ持った感じやすさと、これまでの経験が重なって、今の自分があるんだな」と、客観的に自分の成り立ちを理解してあげることです。
まとめ:自分の捉え方を少し変えてみる
不安になりやすい自分を、無理に力づくで変える必要はありません。
「気が弱いのではなく、人一倍いろいろなことに気づけるんだな」 「臆病なのではなく、慎重で丁寧なんだな」
そんな風に、自分の特性を正しく捉え直してみることから始めてみませんか?
一人で自分の性質を整理するのが難しいと感じられたときは、いつでも心理相談室ちゃのまでご相談ください。臨床心理士・公認心理師と一緒に、ご自身に合った付き合い方を少しずつ探していきましょう。