不安はずっと続かない

心理相談室ちゃのまの杉田真也です。不安についてのコラム、第4回です。

強い不安やパニックのような状態に襲われると、「この苦しみが永遠に続くんじゃないか」とさらに焦ってしまうことがありますよね。

しかし、どれほど強い不安であっても必ず「終わり」が存在します。

今回は、不安などの感情が持つ「時間的な性質(波)」を踏まえた、おすすめの心構えについてお伝えします。

目次

1. 感情には必ず「ピーク(波)」がある

喜怒哀楽をはじめとする感情は、人間の身体が生み出す生理現象の一つです。そして、生理現象には必ず「波(上昇と下降)」が存在します。

例えば、100メートル走を全力で走った直後をイメージしてみてください。 心臓は激しく波打ち、息は荒くなりますが、その興奮状態が何時間も続くことはありません。しばらく休んでいれば、心拍数も呼吸も必ず元の状態に戻っていきます。

不安や恐怖といった感情も、これとまったく同じ仕組みです。

脳の警報システムが作動した直後は、心と体の緊張が一気に高まり、胸が苦しくなったり思考がまとまらなくなったりします。これは非常に耐えがたい感覚ですが、身体の緊張状態はエネルギーを消耗するため、永遠に維持することはできません。

強度のピークに達したあとは、時間の経過とともに必ず落ち着いていきます。

2. 不安と「戦う」のが逆効果になる理由

苦しい不安に襲われたとき、多くの人は無意識に戦おうとしてしまいます。

  • 「不安になってはいけない」
  • 「こんな気持ちを早く消さなければ」
  • 「早く落ち着かないと大変なことになる」

このように無理に抑え込もうとすることは、火に油を注ぐようなものです。

「不安を消さなきゃ」と抗えば抗うほど、脳は「いま自分は危険な状態にある」と認知し、かえって不安に意識が集中してしまいます。さらに「不安を消せない自分」に対して新たな焦りを感じるという悪循環(波の長期化)に陥ってしまうのです。

抑え込もうと反発する力が、本来なら自然に通り過ぎていくはずの波を停滞させ、苦しい状態をダラダラと長引かせてしまいます。

3. 対処法:ただ観察し、波が通り過ぎるのを待つ

強い不安を感じたときに必要なのは、戦うことではなく「波が通り過ぎるのを客観的に眺めること」です。

具体的には、次のようなステップで自分の状態を観察してみましょう。

  • ① 感情を「実況中継」してみる「いま、自分は強い不安を感じているな」「心臓のドキドキが強くなってきたな」と、第三者の視点で心と体の変化を言葉にします。客観視することで、不安の渦から少し距離を置くことができます。
  • ② 不安を感じている自分に「許可」を出す「不安になってもいい」「ドキドキするのは身体の正常な反応だから大丈夫」と肯定します。抑圧するのをやめるだけで、感情の波は早く収束に向かいます。
  • ③ 時間の経過とともに静まるのを体験する「これは生理現象だから、時間が経てば必ず弱まる」と頭に置き、波が引いていくのを静かに待ちます。この「下がっていく体験」を一度でも蓄積すると、脳は「不安=恐怖」と感じにくくなっていきます。

この「波を観察してやり過ごす」という方法は、一朝一夕で身につくものではなく、日々のちょっとした練習が必要です。

しかし、「この苦しみは一時的なものであり、必ず終わりがある」という事実を知っておくだけでも、いざという時の冷静さを取り戻す大きな助けになります。

お一人で不安の波に向き合うのが難しいと感じられる場合は、いつでも心理相談室ちゃのまにご相談ください。臨床心理士・公認心理師と、波を乗り越えるスキルを一緒に練習していきましょう。

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