不安はゼロにしなくていい
さて、これまで6回にわたって不安について一緒に考えてきました。
「不安は危険を知らせてくれる味方だったんだ」
「ドキドキするのは、正常な反応だったんだ」
「不安になりやすいのは、自分のせいじゃなかったんだ」
こんな風に思っていただけていたら、記事を書いて良かったと思えます。
そうは言っても、やはり不安に襲われるのはつらいものです。
”不安をゼロにしてしまいたい”という気持ちがあるのは、まったくもって当然のことです。
しかし、”不安をゼロにする”とゴール設定をしてしまうと、かえって自分を苦しめてしまうことにつながるとしたらどうでしょうか?
今回は、どんなゴールを目指すべきなのかお話していきたいと思います。
”不安をゼロに”の罠
「不安を感じないようにしよう」「不安を感じてはいけない」と強く思っていると、不安への感度はより鋭敏になります。
ほんの小さな不安の兆候も見逃すまいと、常に張り詰めた状態になります。
結果として、以前よりも不安に敏感になり、疲れ果ててしまいます。
また、”不安を感じない自分”を目指してしまうと、少しでも不安を感じたときに「ああ、また不安を感じてしまった」「不安になってしまうなんで、なんてダメなんだ」と自分を責めてしまいやすくなります。
そして、このような自己否定が、新たな不安を生むことにもつながります。
そもそも、不安が全くない状態は、理想とは言えません。
これまでにもお話した通り、不安は危険を察知するための警報機の役割をしています。
不安がなくなってしまったら、いざというときに無防備になってしまいます。
”適度な不安”のチカラ
”適度な不安や緊張”は、私たちの能力を高めてくれることがわかっています。
例えばスポーツ選手がベストな記録を出すとき、彼らはリラックスしきっているわけでも、パニックになっているわけでもありません。
最高の集中状態を生み出す”適度な緊張”の状態になっているのです。
そして、不安に悩む人が目指すべき目標も、不安をゼロにすることではなく、”適度な不安”の状態になるようにコントロールすることです。
”不安と共存する”ことを目指す
不安について困っている場合、目指すのは”不安をゼロ”にするのではなく、”不安を感じながらも、やるべきことができる自分になる”ことです。
天気にたとえるなら、「雨を無理やり晴れにしようとする」のではなく、「雨が降っても、傘をさして平気で出かけられるようになる」ことを目指すようなイメージです。
そうはいっても、「不安なことを考え始めると、どんどん不安が募ってしまい、いてもたってもいられなくなる」という方も多いでしょう。
私たちの頭は、そういった負のループにはまりやすいようです。
では、なぜ私たちはそんなにも考えすぎてしまうのでしょう。
次回は、この”考えすぎ”についてお話を進めていきたいと思います。
不安についてお悩みの方、誰かに相談したいと思われている方は、オンラインカウンセリング『心理相談室ちゃのま』をお尋ねください。