不安は心の警報機
こんにちは、臨床心理士・公認心理師の杉田真也です。
今回からは”不安”をテーマに記事を書いていこうと思います。
たくさんの方のご相談をお聞きしていると、やはり”不安”に関するお悩みは多いんですよね。
いわゆる不安症はもちろんですが、そこまででなくとも、学校への不安や、子育てへの不安、生きること自体への不安など、不安なことは世の中にいくらでもあります。
「不安なんてなくなってしまえばいいのに」と思われる方も多いかもしれませんね。
もし、魔法のように世界中から「不安」という感情が消え去ったとしたら、どんなに素晴らしい世界になるのでしょうか?
少しだけ、そんな”不安ゼロ”の世界を想像してみましょう。
例えばテスト前日。
「全然勉強していないけど、何とかなるっしょ。ヘーキヘーキ。」
例えば車の運転。
「道の見通し悪いけど、人通りも少ないし、スピード出しても大丈夫っしょ。ヘーキヘーキ。」
例えば食事や飲酒。
「毎日ピザと唐揚げにマヨネーズたっぷりつけて食って、焼酎2リットル飲んでるけど、おいしいからいいっしょ。ヘーキヘーキ。」
例えば他の人との関係
「なんか相手が嫌な気分になるかもしれないけど、言いたいこと言っちゃっても許してくれるっしょ。ヘーキヘーキ。」
…いかがでしょうか。
「不安のない世界」はまるで楽園のように聞こえますが、それは成長がない、危険で、思いやりのない冷たい世界になってしまいます。
”不安”は、心に備わった警報機のようなものです。
「もしかしたら危ないかもしれない」という、危険のサインをキャッチして、警告を与えてくれているのです。
不安に悩んでいる人は、この心の警報機が少し故障していたり、感度が上がりすぎていたりして、過剰に反応しているのかもしれません。
トーストを焦がしただけの小さな煙でも、まるで大火事のようにけたたましく鳴り響いてしまう状態です。
この心の警報機のメンテナンスをしてあげることが、不安を正しく理解して、よりよく生活できる一歩となるように思います。
つまり”不安”をゼロにするのではなく、上手に付き合っていく方法を知る。
これから、そんなことのお役に立てるような記事を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。