こんにちは。
臨床心理士・公認心理師の杉田真也です。
不安の記事の16回目です。
今回は、情報であふれる現代ならではのお悩みについて考えていきたいと思います。
朝起きて何気なくスマホを手に取ると、悲しい事件や、暗いニュースが目に飛び込んできます。
そのたびに、心がざわついたり、一日中重たい気持ちを引きずってしまったり…。
自分に直接関係があるわけではないのに、まるで自分のことのように辛く感じてしまった経験はありませんか?
今回は、なぜニュースが私たちの心を疲れさせるのか、その仕組みと、情報と上手に付き合いながら自分の心を守るヒントについてお話しします。
なぜニュースは心を疲れさせるのか?
遠い場所で起きている出来事のはずなのに、私たちの心がこれほど影響を受けるのには、理由があります。
1.脳は、ネガティブな情報に強く反応する
私たちの脳は、危険を察知して生き延びるために、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすい性質を持っています。
そのため、不安を煽るようなニュースほど、記憶に残りやすく、頭の中で何度も再生されてしまいがちです。
2.「共感」が心を疲弊させる
ニュースで報道される人々の苦しみや悲しみに対し、私たちは「なんて可哀想なんだろう」「もし自分の家族だったら…」と、自然と感情移入します。
この「共感」は、人間としてとても大切な感情です。
しかし、ネガティブなニュースに触れ続けると、この共感する力が過剰に働き、まるで自分の心が傷ついているかのように疲弊してしまいます。これを「共感疲労」と呼ぶこともあります。
3.「何もできない」という無力感
大きな災害や事件に対して、私たちは「何もできない」という無力感に苦しめられることがあります。
このコントロールできない状況が、私たちの不安感をさらに強めてしまいます。
情報の波にのまれないための3つの方法
では、どうすればこの情報の波から、自分の心を守ることができるのでしょうか。
もちろん、社会から完全に離れた生活を送る必要はありません。
少しだけ、情報との付き合い方を変えてみましょう。
1.「ニュースを見ない時間と場所」を意識的につくる
一日中、いつでもニュースに触れられる状態だと、心がなかなか休まりません。
例えば、「朝起きてすぐと、寝る前だけはニュースを見ない」「食事中や寝室には、スマホを持ち込まない」といった感じで、意識的にニュースから離れる時間と場所を作ってみることが役立ちます。
2.情報に触れる「量」と「質」を意識する
私たちは、どんな情報を、どれくらい取り入れるかを、自分で選ぶことができます。
例えば、ワイドショーやネットニュースをダラダラと見続けるのを少しお休みして、「一日に数回、決まった時間に信頼できるニュースサイトを確認するだけ」と、自分の中でルールを決めてみます。
自分にとって本当に必要な情報を、適切な量だけ受け取るように心がけるだけで、気持ちはかなり穏やかに保ちやすくなります。
3.情報に主体的に関わる
ニュースを見て無力感に襲われたときは、その気持ちを「小さな行動」に繋げてみるのも一つの手です。
例えば、もう少し詳しく知ろうと信頼できる情報を探してみる、災害に備えて自分の家の防災グッズを見直してみる、あるいは身近な人とそのニュースについて話してみる、などです。
そのようなことでも、十分に意味のある行動です。
ただ情報を受け取るだけでなく、ほんの少しでも自分から関わることで、「何もできない」という気持ちが和らぎます。
世の中の出来事に関心を持つことは、とても大切なことです。
しかし、それがきっかけで心がダメージを受けてしまっては元も子もありません。
健やかに生活するために、自分を守る工夫をすることも、少しずつ試してみてはいかがでしょうか。
ご自身ではうまく不安な気持ちに対処できないと感じられたときには、専門家に相談することが役立ちます。
もしよろしければ、心理相談室ちゃのまでお話を聞かせてください。