モヤモヤした不安

不安についての記事の第3回です。

こんにちは、臨床心理士・公認心理師の杉田真也です。

理由もはっきりしないのに、なぜか胸がザワザワする…。

楽しいはずなのに、心のどこかに薄い霧がかかったようにスッキリしない…。

そんな”漠然とした不安”に悩まされている人は、実はとても多いです。

前回の記事で”不安は心の警報機”というお話をしてきました。

今回は、危険な対象が見当たらないのに警報機が鳴り響いてしまう、この”モヤモヤ”のお話をしていきたいと思います。

漠然とした不安


何が原因かわからないけれど、漠然とした不安があってモヤモヤしてしまう。

このモヤモヤは結構やっかいで、次の3つの特徴があります。

①対処法がわからない
何が敵かわからないため、戦うことも逃げることもできず、ただただ無力感に襲われてしまいます。

②終わりが見えない
「いつまでこの状態が続くんだろう…」と希望を失いやすくなります。

③自分を責めてしまう。
「理由もないのに不安になるなんて…」と自分を責め、さらに苦しくなってしまいます。

警報機の鳴りっぱなし状態


では、前回のマンモスのお話のように、明確な危機が迫っているわけではないのに警報機が鳴ってしまうのはなぜなのでしょうか?

それは、脳の見張り番の『扁桃体』が、小さな危険信号を同時にキャッチしまくって、パニックになってしまっているからなんです。

石器時代はマンモスのように、警報機を鳴らす対象が明確でした。

しかし、現代社会は違います。

仕事や人間関係、学業、満員電車、怖いニュース、はてはSNSの投稿への反応まで、ひとつひとつは小さな脅威かもしれませんが、私たちの周りにたくさん漂っています。

鋭敏な脳の見張り番は、それらの脅威を全部まとめて「なんだかよくわからないけど、とにかく危険そうだぞ」と警報を鳴らしてしまうのです。

これが”漠然とした不安”の正体です。

たくさんの小さな不安がごちゃ混ぜになり、モヤモヤという大きな塊になってしまっているのです。

解決法は”書き出す”こと


この警報機を止めるためには、小さな脅威をひとつひとつ特定してあげる必要があります。

そのための最もシンプルで強力な方法は、”紙に書き出す”ことです。

・上司に怒られたらどうしよう
・来月の支払いは大丈夫だろうか
・友だちに嫌われたかもしれない
・クラスでみんなの話についていけないかもしれない

このように、文字として形にしてあげることで、脳の見張り番は「ああ、これが原因で警報機が鳴っていたのか」と、少し落ち着きを取り戻してくれます。

ここで大切なのは、その問題をすぐに解決しようとしなくていい、ということです。

まずは、ただ”漠然とした不安の正体を知る”こと。

それだけで十分です。

小さな不安たちを形にして、向き合える”問題”に変えてあげれば、霧のようなモヤモヤは必ず晴れていきます。

最初は1つで良いし、短くても良いです。試しに紙とペンを用意して、あなたの心のモヤモヤを”見える化”してみてはいかがでしょう。

もし、おひとりではうまくいかないようでしたら、ぜひオンラインカウンセリング『心理相談室ちゃのま』をお尋ねください。

それでは、また来週の水曜日に。

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